「短寿命56Niにおける巨大単極子共鳴・巨大四重極子共鳴の初めての測定」ということですな。 何のことやら判らないと思いますが。私も判りません。
あんま信じないで。
巨大共鳴とは、原子核に見られるある特殊な共鳴のこと。
スペクトル上における巾が非常に大きいことから「巨大」と名付けられた。
実際には、原子核を構成する核子のうち殆どが集団的に励起するモードであり、
3つの量子数(角運動量、スピン、アイソスピン)により識別される。
角運動量の差は多重極度(multipolarity)ΔLと呼ばれ、 ΔLの値を持つモードを2ΔL重極子共鳴と呼ぶ。 本論文に出てくるのはΔL=0(Monopole)とΔL=2(Quadrupole).
スピンの差ΔSは、後述する核の運動においてスピンの違いが運動の位相の違いに影響するか否かを決める。 ΔS=0(Electrical)なら、スピンの違いは運動の位相に影響しない。
アイソスピンの差ΔTは、本論文では最も重要な量子数。 ΔT=1(≠0,Isovector:IV)の時、陽子pと中性子nは互いに逆位相で運動するが、 ΔT=0(Isoscalar:IS)の時は、pとnは同位相で運動する。
タイトルでは省略されているが、本論文で測定されているのはいずれもアイソスカラー共鳴である。 アイソスカラー共鳴は、前述の通りpとnが同じ位相で"運動"する共鳴モードである。 ここで言う運動とはアナロジーではなく実際に原子核の形状変化であり、Monopoleの場合は半径の振動、 Quadrupoleの場合は楕円球の2つの直交する半径の互いに逆位相の振動である。
ちなみに、ISかつDipoleな振動というのは定義されない。Dipoleな振動とは"形状を保ったままの一方向への振動" であるが、ISの場合pとnの位相が同じなので、原子核は全体として振動するだけであり、 これを重心系から見ると運動していないのと同じになってしまう。
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