東京工業大学 >
大学院理工学研究科 >
基礎物理学専攻 >
中村研究室 >
メンバー >
海老名直樹
Ebina's Webpage
メモ[粒子識別](作成中)
<更新進捗>
画像が入らない
主にBigRIPSを用いたビームの粒子識別(PI:Particle Identification)についての説明。
reaction後のPIについてはここでは割愛する。
目的
不安定核実験におけるビーム粒子生成時、目的粒子とそれ以外の粒子が多数発生する。
これらの粒子を複数の物理量を用いてタグ付け及び、分離を行うことを目的とする。
実験施設(BigRIPS)
施設概要→BigRIPS
主にプラスチックシンチレータを用いて後述する物理量を表すのに必要な(時間、電荷、位置)情報を測定する。
識別に用いる物理量1
- TOF(Time Of Flight)
ビーム粒子が検出器間を飛行した時間。
検出器の時間情報から得ることができる。
- dE(エネルギー損失)
検出器でビーム粒子が失ったエネルギー量。
荷電粒子と物質の相互作用によってエネルギーを失う(→Bethe-Blochの関係式)
シンチレータ内における発光量と相関を持つ。
- Bρ(磁気硬度)
荷電粒子の磁場中における軌道の曲がりやすさ。
磁気硬度が大きいほど粒子軌道は曲がりずらく(硬い?)、小さいほど曲がりやすい。表式についてはここ参照。
BigRIPS内では磁場が印加されており、ビーム粒子はそれぞれ軌道を曲げられる。
そのため、粒子ごとに焦点面における通過位置が異なる。位置の違いはプラスチックシンチレータの両端に設置されたPMTの信号の時間差から導出される
識別に用いる物理量2
以上の物理量から新たに識別に用いる以下の物理量へと変換を行う。
- 陽子数(Z)
ビーム粒子の陽子数。
Bethe-Blochの関係式から
$Z\propto\sqrt{\Delta E}\cdot\beta\propto\cfrac{\sqrt{\Delta E}}{\text{TOF}}$
と表される。上記の物理量のうちエネルギー損失とTOFの比に比例する。
- ビーム粒子の質量数(A)と陽子数(Z)の比(A/Z)
英語読みで「エー オバー ゼット」と呼ばれる。
磁気硬度の表式から得ることができる。
$\cfrac{A}{Z}=\cfrac{300B\rho}{m_u\beta\gamma}$
$m_u$は原子質量単位であり、$\beta=v/c,\gamma=1/\sqrt{1-\beta^2}$、$v$はTOFと実際の検出器間の距離から求まる。
識別図(PI図)
得られた物理量から陽子数 vs A/Z の二次元ヒストグラムを作成することでPIを行う事ができる。
作成した図が上手く分離されていないときは物理量にゲート処理を行う事が必要となる(基本的には必要)。
ゲート処理
PI図をより明確に分けるための処理。
ビーム粒子がBigRIPS内を飛行中に別の粒子に変化していないことを条件とする(変化してしまった粒子はエネルギー損失値やTOF値が変化していないときの相関に乗らなくなる)。異なる検出器や異なる検出器間における観測量の二次元ヒストを確認しながら行う。
詳細は中村研の先輩方の卒論・修論を参考にすると良い。
→学位論文(博士/修士/学士)
戻る